どうもおかきぱん(@okakipanBANKER)です
住宅を購入する時に設定する「抵当権」。
「自宅を担保に取られるんだなー」
くらいの認識はあると思いますが、どういった権利が理解していますか?
今回は担保取得に関する権利「抵当権」「根抵当権」について解説していきます。
- 抵当権ってなに?
- 根抵当権ってなに?
- 抵当権と根抵当権の違いは?
この記事を読めば抵当権と根抵当権、不動産担保を取得する際の権利についてがわかります。
住宅ローン全般についてはこちらで解説しています。
抵当権とは

抵当権は住宅ローンを組む際に購入する不動産を担保にする権利です。
その内容を詳しく見ていきましょう。
抵当権の効力
抵当権はお金を貸す人(銀行)が設定する権利で不動産を担保にする権利です。
法務局で「登記事項証明書」を所得することで、誰でも閲覧することができます。
借りる人(債務者)は不動産を担保に差し出す代わりにお金を貸して貰えるようになります。
貸す人は「抵当権」が付いていると、返済が滞った時に物件を売却して返済に当ててもらうことができます。
住宅ローンでは通常、3ヶ月以上返済が滞った時にはこの権利が行使されることとなります。
抵当権と根抵当権の違い
抵当権と同じく、不動産に設定する権利として「根抵当権」があります。
抵当権と根抵当権の主な違い
抵当権 | 根抵当権 | |
---|---|---|
効力の範囲 | 借入残高 | 極度額 |
効力の期限 | 借入残高が無くなるまで | 抹消するまで |
通常使われる融資 | 住宅ローンなど | アパートマンションローンなど |
抵当権は対象の借入にだけ効力を発揮し、借入残高までしか効力がありません。
抵当権の効力例
5000万の住宅ローンを組んで、残高2000万円の場合
登記上は5000万円の抵当権がついていますが、抵当権の効力は2000万円までです。
マイカーローン500万を追加で借入し2500万円の借金になっても、抵当権の効力が及ぶのは2000万円だけです。
抵当権は対象の借入、対象の借入残高に対してのみ効力を発揮します。
根抵当権の効力例
5000万円の借入でアパートを建築、残高2000万円の場合
登記上は5000万円の根抵当権が付いていて、その範囲まで他の借入でも効力を発揮します。
アパートの修繕費用1000万を追加で借りると、その借入まで効力を発揮します。
つまり、残高2000万円+修繕費用1000万=計3000万に対して根抵当権の範囲となるんです。
根抵当権は設定した極度額に対して、その銀行での借入全てに対して何度でも効力を発揮します。
根抵当権は権利を設定した銀行で借入した場合に、その借入全てに対して効力を発揮します。
金額は最初に設定した極度額に対してです。
借入が無くとも、極度額5000万が根抵当権設定されたままだと、いつでも効力を発揮してしまう可能性があります。
そのため、銀行側は5000万減額して担保価値を算出します。
抵当権と根抵当権の使い分け
今までの説明だと、根抵当権にメリットを感じないかもしれません。
しかし、法人やアパートマンションローンは運転資金や修繕資金で繰返し借入が見込まれます。
何度も登記して費用が掛かるより、根抵当権で1回で済ませたほうがお得なので根抵当権を選択することが多くなっています。

通常、財務内容が良好で担保が不要な法人でも、物件購入の際は物件・債権管理の観点から抵当権や根抵当権を設定します。
抵当権は対象の借入のみに対して効力を発揮するため、借入残高がなくなった時点で抵当権の権利としての効力は無くなります。
一方、根抵当権は借入完済後、抹消手続きを行わなければ効力を発揮し続けるため、借入が無くなったら自ら抹消手続きを申し出る必要があります。
抵当権設定の手続き

では、抵当権の設定手続きはどのように行うのでしょうか?
抵当権設定手続きの流れ
抵当権設定の手続きはこのような流れになります。
委任状や印鑑証明も同時に提出します。
借りる人と銀行が必要書類を司法書士に提出。
あとは司法書士が法務局へ登記手続きに行ってくれます。
通常1〜2週間ほどで登記が完了します。
資金管理の面から、住宅ローンを借りたその日に支払いを済ませる場合もあります。
登記が完了し、報酬を支払ったら書類を受け取って抵当権設定は終了になります。
この流れの通り、抵当権設定手続きは銀行と司法書士がほとんどやってくれます。
借りる人がやるのは必要書類を揃えて、契約書に署名・捺印するくらいですね!
抵当権の抹消をお忘れなく
数十年後先の話になりますが、住宅ローンを返済し終わった後は抵当権の抹消を忘れないようにしましょう。
住宅ローンを返済し終わると、抵当権は効力を発揮しなくなり、権利としては消滅します。
しかし、登記上は抵当権が残ったままになってしまっているので、抹消手続きが必要です。
通常は銀行から連絡が来きて、その手続きに従えば大丈夫です。
一般的には委任状を書く程度の手続きです。
抹消には銀行の発行する書類が必要なため、その後の手続きは銀行でやってくれます。
抹消には費用が数万円かかるので、事前に知っておきましょう。
「根抵当権」の場合は、借入を完済しても不親切な銀行だと連絡がありません。
今後の借入予定がなければ、根抵当権の抹消を銀行に依頼しましょう
抵当権設定に必要な書類
抵当権設定には次のような書類が必要になります。
抵当権設定時の必要書類
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 委任状
- 本人確認書類(免許証など)
- 登記識別情報または権利証
- 登記原因証明情報または抵当権設定契約証書
- 金融機関の資格証明書
結構必要な書類がありますが、基本的には金融機関から指示があります。
銀行側が揃える書類も多いため、「印鑑証明と不動産の権利証(登記識別情報)が必要なんだー」くらいに思っておいてください。
抵当権に掛かる費用
抵当権設定は無料ではなく、費用が掛かります。
抵当権設定に必要な費用
名目 | 費用 |
---|---|
登録免許税 | 借入金額×0.4 |
収入印紙代 | 借入額に応じた印紙代 |
登記事項証明書発行手数料 | 1通600円 |
印鑑証明書発行手数料 | 1通400円程 |
司法書士報酬 | 3万〜10万 |
例をあげておくと、こんな感じになります。
例)住宅ローン3000万の抵当権設定費用
- 登録免許税:3000万×0.4=12万円
- 収入印紙:2万円
- 手数料関係:数千円
- 司法書士報酬:3万〜10万程度
- 合計約20万程
以外と費用が掛かりますね。
司法書士が費用を立替して登記してくれるので、報酬と実費を合わせて司法書士に支払います。
住宅ローンの場合は、この登記費用も借入に含めることができます。
抵当権が設定されている物件の取り扱い

抵当権が設定されている物件はどのうように扱われるのでしょうか?
抵当権設定のある物件の売却
抵当権設定がある物件は売却できません。
なので、売却する際には借入残高(=抵当権効力範囲)を完済しなければなりません。
つまり、物件を売る時には借入金額以上で売却するか、不足部分は自己資金をいればければなりません。
抵当権付きの物件を売却するときは「買う人の抵当権設定」「売る人の抵当権抹消」を同日に行います。
>>住宅ローンが残っている時の住替えはどうするの?
抵当権設定のある物件の相続
通常、住宅ローンの場合は団信に加入しているため、借入残高は0になり、抵当権も抹消できます。
一方、団信に加入していない住宅ローンや他借入の抵当権がついた物件の相続は2通りの方法があります。
抵当権設定のある物件を相続する
1つ目は借入と一緒に抵当権付き不動産を受け入れる方法です。
もともとの債務者(=故人)に変わって、債務者となり、物件の所有も引き継ぐことができます。
もちろん、借入残高と同等の抵当権も引き継ぐこととなります。
抵当権設定のある物件を相続放棄する
2つ目抵当権付き不動産の相続の放棄です。
相続の放棄をする場合は、抵当権付きの物件だけ放棄することはできず、遺産全てに対して相続を放棄することととなります。

一応、「限定承認」という資産のプラスマイナス同程度だけ相続する方法もあります。
手続き方法、要件のハードルが高く、利用も僅かで現実的では無いです。
相続をする際は資産の状況(プラスかマイナスか)を把握して、相続する人たちで話し合うことが大切ですね。

以上、抵当権についての解説でした。
抵当権がついている間は売却もできないため、自分と金融機関が半分ずつ所有しているイメージでいるといいかもしれません。
覚えておいて欲しいのは、抵当権は対象の借入にだけ効力を発揮して、残高が0になったら効力も無くなることです。
そして、完済時には抹消の手続きが必要で数万円掛かることもお忘れなく!
おしまい!
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